大きな工場の屋根は
当然ながら雨樋も長いんです。
それに建物形状によっては
どうしても屋根の軒先と
軒先が取り合わさる
「谷」なる箇所がデキちゃいます。
この屋根はスパン毎に
谷樋のエキスパンション
(伸縮継手)を設けている
お手本のような仕事をしています。
屋根の排水溝である谷樋は
水密性の関係で
ジョイントを設けたくない
モノなんですよね。
ジョイント部分が
多くなればなるほど
そこからの漏水リスクが
高まりますから。
ですのでジョイントレスで
一本モノって「谷樋」にしてしまいがち。
また、製作と運搬、施工の都合で
4m定尺部品として設置する場合
ジョイント部分は防水処理をして
リベット等でガッチリ接合します。
そうなると問題なのが、、、
温度差による熱伸縮です。
夏場は熱膨張で伸び
冬場は逆に縮みます。
この現象は金属製だろうが
一途も簡単に谷樋はブチ切れて
雨漏りが始まるんですよ。
こうした破損トラブルを防止するために
エキスパンションジョイントを設けて
伸縮を吸収するんです。
(堰みたいなモノ)
このジョイントは無い方が
施工的にはシンプルで簡単なんですが
物性上どうしても必要な構造なんです。
このちょっとした小技、
わざわざジョイントを設けていますから
技術的にも施工的にも非常に難しい。
図面等しっかりとした指示書があっても
その製作と施工には絶対に
職人の技術と経験が必要なんです。
一般的にはよく分からん部位ですが
この屋根の部位にこそ
神が宿る技術があるんです。
それではまた。
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小笠原孝彦(おがさわらたかひこ)でした。